生前贈与と遺言のこと
生前贈与と遺言のこと
そもそも生前対策とは何でしょうか。遺言を作成することだとお考えの方も多いでしょう。ご自身の築かれてきた財産について、しっかりと家族が受け継いでほしい、ご自身が亡くなられた後も家族が安心して生活してほしい。そのような希望を叶える方法として、遺言は有効な方法です。
しかし、生前対策として出来ることは、遺言による相続対策だけではありません。認知症対策や相続税対策などを行うことも出来ます。
生前対策の代表的な手段は「生前贈与」「遺言」「家族信託」「任意後見契約」です。これらを組み合わせて、将来の不安を解消します。また、保険を活用して納税資金を準備したり、未上場の会社の株式について、会社に買い取ってもらえるよう規定を整備するなど、方法は目的により様々です。
生前対策と言われても、何をしたらよいのか分からないとお考えの方も多いかと思います。日本公証人連合会が発表している資料によると、公正証書遺言の作成件数は、令和3年は10万6,208件でした。これは非常に少なく、だいたい10人に1人しか遺言を作成していない計算になります。
遺言、生前贈与は、司法書士、弁護士の専門ですが、相続税は税理士の専門です。生前対策は、多数の士業の分野にまたがるため、全体を見渡して適切にアドバイスが出来る専門家が少ないことが、生前対策を行っている方が少ない原因の一つだと思います。
下記が代表的なものとなります。
認知症になってしまうと、判断能力が低下し、預金を引き出したり、施設への入所契約を行ったりすることが出来なくなります。
そこで、このような場合に備えて、民法は成年後見制度を整備しています。家庭裁判所へ後見開始の審判の申立を行い、成年後見人が代わりに預金の引き出しを行ったり、施設の入所契約を行って、被後見人の生活に必要な財産管理を行います。
しかし、この成年後見制度は次のデメリットがあります。
以上のリスクに対処すべく、対策をする必要があります。
あらかじめ「任意後見契約」を結んで、後見人となる人を選任しておくことで、スムーズに認知症対策を行うことが出来るようになります。
また、例えば預金の管理を受託者へ任せる「家族信託契約」を結んでおけば、認知症になった後も受託者が預金の引き出しを行えるようになります。
相続税の支払い予定金額をあらかじめ計算し、対策を行うことでなるべく相続税を節税することができます。例えば、生命保険を活用したり、不動産を活用する方法、あらかじめ財産を移転する「生前贈与」を活用する方法がよく行われます。
また、納税資金を準備することも重要です。相続税は基本的に現金で支払います。遺産に現金が少ない場合、未上場の株式を会社に買い取らせたり、不動産の売却を検討したりする必要があります。また、保険を利用して納税資金を準備することもよく行われます。これらを検討するためには、税理士、司法書士だけでなく、FPや不動産業者の協力が不可欠です。
遺言を作成し、遺言執行者として専門家を選任しておくことで、相続が発生した場合の手続きをスムーズに進めることが可能となります。
例えば、相続人が外国に住んでいる場合、遺産分割協議書を準備することは、外国の法律も関係し複雑になることがあります。このような場合に、あらかじめ遺言を作成しておくと、将来の相続手続きをスムーズに進めることが出来るようになります。
遺言を作成し、分割方法について争いが生じないようにするのが代表的な方法です。さらに、あらかじめ遺留分侵害額を計算し、遺留分侵害額請求権に対する代償金を準備することも重要な視点となります。
生前対策は、様々な手法を組み合わせて行われます。弊社では、税理士、FP、弁護士など必要な専門家を手配し、協力して生前対策を行います。下記は、代表的な生前対策手法の報酬です。
報酬 | |
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遺言の作成、死因贈与契約書の作成 | 80,000円~ |
任意後見契約書の締結サポート | 100,000円~ |
家族信託契約作成サポート | 300,000円~ |
上記の他、例えば相続税のシミュレーションを行った場合、税理士報酬が別途必要となります。