相続で一番最初にやるべき事③~受け取った保険金の扱い~
- 2023年3月10日
- 亡くなってすぐの手続き
こんにちは。
司法書士の成田です。
このブログは、
・なるべく専門用語を使わず
・イメージしやすいよう具体的に
・陥りやすい落とし穴に注意を払いながら
というコンセプトで、相続について発信していきます。
今回は、「相続で一番最初にやるべき事③~受け取った保険金の扱い~」というテーマについてお話します。
1 遺産分割前に使っても良いの?
相続人が死亡保険金を受け取った場合、
遺産分割前に保険金を使っても良いのか?という疑問を持つ方もいらっしゃるかもしれません。
例えば、上のような場合、死亡保険金を受け取った長男は、
遺産についてお母様、お兄様と相談する前に保険金を使っても良いのでしょうか?
結論としては、死亡保険金は原則として、遺産分割協議の対象外ですので、
自由にお使いいただいて構いません。
「受取人の固有財産」だからです。
固有財産ですので、死亡保険金とは別に相続分通りに遺産を相続する権利があります。
すなわち、次男は、遺産のうち4分の1を保険金とは別に相続する権利があります。
2 死亡保険金に税金はかかるの?
相続人が死亡保険金を受け取った場合、
死亡保険金はみなし相続財産とされ、相続税の対象となります。
受取人の固有財産ではあるものの、相続税の課税対象には含まれるのです。
但し、死亡保険金には非課税限度額があります。
非課税限度額は、500万円 × 法定相続人の数 で求められます。
上の図の場合、死亡保険金2000万円のうち、相続税の課税対象となるのは、
500万円×法定相続人(3人)=1,500万円を引いた、500万円です。
3 リビングニーズ特約により生前に保険金を受け取った時は?
リビングニーズ特約(リビングニーズ特約については、相続で一番最初にやるべき事②~死亡保険金の請求~で)により生前に受け取った保険金は、
次のような処理となります。
例えば、お父様が、息子を受取人として1,000万円の生命保険をかけていたが、
リビングニーズ特約により生前に300万円を受け取った場合
①お父様が300万円を全額使い切った場合
所得税も相続税も掛かりません
②お父様が300万円を使い切れなかった場合
使った分については、所得税も相続税もかかりません。
使い切れなかった残額は相続税の対象となります。
さらに、生命保険の非課税枠も使えません。
3 リビングニーズ特約は非課税枠が使えない?